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アナキズムQ&A やっちゃう、やっちゃえ、やっちゃった/ 栗原康
¥1,980
「アナキズム」に対して漠然としたイメージはあるもののよくわかっていない、という人も多いかもしれません。 QさんAさん対話仕立てになっているので読み易く、楽しみにながら理解を深めることができます。 経過なトークのグルーブに乗って読み進めていくうちに、自分の中の固定観念から解放される感じが! 人を縛る社会の仕組みから逃れ、統治から自由に生きる方法を学べる1冊です。 わたしが特におもしろく読んだのが、『「われわれ」が解体されたその瞬間に、共同の性があらわれるんですよ。 コミューンとは、そのコミューンの境界をうしなったとき、はじめてコミューンになるものだ、と。』という一節。 お店、プライベートともに「自立/自律」のあり方と「相互扶助」のバランスについて考えていた最近だったので、 出会いの連鎖が自らの力をも伸ばすという発見に勇気づけられました。 そして、お店番をお願いすることの意義を再認識。(なんてったって、映画上映会なんておもしろそうな企画も生まれてるんですから!)
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本の練習生 / 碇雪恵
¥1,320
碇さんが、双子のライオン堂で開催した多和田葉子『雪の練習生』の連続読書会に参加した記録エッセイ。読書会を通して、難解な小説と格闘しながら、多様な人々との対話を通じて「わかる」ことの価値を問い直す、真摯でユーモラスな日々の記録です、わ 本書を通じて、読書会を追体験してもいいし、読書や小説との向き合い方を考えてもいい。そんな1冊です。 『本を読むようになってずいぶんの年月が経つのにもかかわらず、読書とというものに対する初心者気分がどうにも拭えない。 本に対してずっと他人行儀。読書の世界の中心にわたしはいない。そんな意味不明の疎外感を感じている。』(「少し長めの前日譚」より) 前作の「35歳からの反抗期入門」でもそうでしたが、碇さんのご著書は開いてから共感までのスピードが本当に早い。 今回も読書に対する姿勢や本好きと大きい声で言えないというもやもやに、(わかる!!!)とさっそく心を鷲掴みにされました。 お店で読書会をやったことがないのはこういう理由もあったりするわけで、全く公私混同ですが。(笑) メンバーを変えながら進んでいく全6回の読書会。本の話だけでなく、最近見た映画や行った場所などカジュアルな自己紹介をしてからスタートしているからか、 どの回も参加された方がのびのびと発言されていて、読書会のハードルがぐっと下がったポイント。話しやすい場の作り方としてとても参考になります。 また、小説の「わかる/わからなさ」についてわからない気持ちを共有していく中で、碇さんが「わかる」という状態に問いを出しているところが印象的でした。 わたしも小説を読むのが得意ではなく、その理由が碇さんを通して言語化されたことにスッキリしましたし、おおらかな気持ちで小説と向き合う心構えができるようになった気がします。
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もしもこの世に対話がなかったら / 横道誠
¥1,650
フィンランド生まれの精神療法、オープンダイアローグの対話を 病院でもカウンセリング室でもなく家で続ける。 安心して話せる場所、聞いてもらえる場所を探している人へ 本書は、著者の横道さんが運営するオープンダイアローグ的対話実践の自助グループ「ゆくゆく!」で行っていることをモデルにしながら、フィクションを交えた物語に仕上げた1冊。 具体的なケースを章立てにして、グラウンドルールを毎回提示し、実際に進めていく様子が読めるので、擬似的に参加しているような気持ちになれ、自然と引き込まれていきます。 他人から悩みを話されると、ついつい何か気の利いたことを言わないといけない、とか、アドバイスをした方が良いんじゃないかという気持ちになりがちですけど、聞いてもらう安心感が重要という考え方にはハッとさせられました。ただ聞くって難しいし、聞けていないことたくさんあるなぁ。。
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NEUTRAL COLORS 6 / 加藤直徳
¥3,300
NEUTRAL COLORS 6 加藤直徳 NEUTRAL COLORS 6 Naonori Katoh ¥3300 (税込) Add to Cart 特集: 滞在で感じたあの特別な時間はなんだ 第6号の特集は「滞在」。観光で立ち寄る場所でも移住でもなく、ある一定期間留まった時に起こる、静止したような時間と、偶然隣りあった人との関係性について思いを巡らせた。書店ON READINGに11日間滞在し雑誌をつくったとき、たまたま手伝いに来てくれた年齢もばらばらな人が、作業をしながら生い立ちや好きなことを自由に語り始める様子を見て、不思議な連帯感を感じた。なんて静かで特別な時間なんだろう。いまの世界から少し離れて留まることができる、戻ることを意識しながらも没頭している、ものをつくったり、なにもせずすごす時間から生まれる、自分にとっての特別な滞在なのだと。あの時間はもう戻ってこないけれど、目の前には紙の束が集積して存在している。だから私たちは何度もその時間に出会うことができる。滞在で生まれる特別な場所と時間に——。 長島有里枝/吉田勝信/デレク・ジャーマン/逆卷しとね/Reading Room & Nem Space/たけし文化センター/インド/札幌/ダブル手帳/新島龍彦(篠原紙工)&Wytze Forpma/奥誠之 ベトナム・ホーチミン/高知・土佐市/岐阜・美濃/オランダ・アムステルダム/メキシコ・オアハカ/パレスチナ・ドバイ 特別綴じ込み: 山形で採集したNC特別カラーを シルクスクリーンで刷った紙が中央に綴じ込まれています
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How to Book in Japan 英語版 / NEUTRAL COLORS
¥1,980
Pages: 44 Format: 215×140×4㎜ Bookmaking: Saddle Stitch Copies: 300 / Second edition Language: English Publication Year: 2024 Designer: Daisuke Kano, Erisa Yamashiro Publisher: NEUTRAL COLORS ISBN None How to Book in Japan 英語版 2刷 NEUTRAL COLORS How to Book in Japan English Edition NEUTRAL COLORS ¥1980 (税込) Add to Cart 2024年NYアートブックフェアで発表するため、特別につくられたHow to Book in Japanの「英語版」。日本のつくり手の声を世界に届けたいと考えてNEUTRAL COLORSが製作した。巻末には、日本のリソスタジオやオススメ書店の全国版情報を掲載している。 『How to Book』はNYのSmall Editionsが製作した、本をつくりはじめる人に向けての指南書。その日本版は『How to Book in Berlin』に次ぐ世界3冊目としてNEUTRAL COLORSが製作。NY版の精神を引き継ぎ、各地で出版活動をする20のパブリッシャー、書店、アーティストの声で構成されている。NY版を下地にしながら、想定する制作物はより広がっている。アートブック、作品集はもちろんのこと、それにかぎらずともあなたが 世に「本」を出したいと決心したときに道標となることを目指した。 工夫やアイデアで、大量生産でもごく少部数でもない、他の人が手にとることのできる、広がる余地のある「一冊」になる。本当につくりたい人が諦める必要がないように、導き、励まし、ヒントを与える有用なツールになることを願っている。コントリビューターの活動のスタイルはさまざま。それは、なにを本にするか、なんのために本にするか、それぞれの信念があるからだ。さらなる一冊をつくるとき、あなたも自分の本のためのやり方を、自分なりに見つける必要がでてくる。その模索のときにも、この本がもう一度道標になるように。(版元HPより)
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「書く人の秘密 つながる本の作り方」/太田靖久、植本一子
¥990
双子のライオン堂さんで行われている対談企画からうまれた一冊「書く人の秘密 つながる本の作り方」太田さんと植本一子さんの対談集です。 おふたりの軽快なトークの中には本づくり、企画において参考にしたい言葉がわんさか。「つくって・売る」ことにチャレンジしやすい今、読んでおきたい1冊です◎ わたしは1回目のトークイベントに参加していたんですが、その時は現状に満足していなくて、何か書きたいけど読む人なんていないだろうし、どんな風にに見られるのか気にして筆が進まない。どうしようかなと鬱々としていた時でした。すがるような思いで参加したこの日のことは緊張でほとんど覚えていないのですが、、、まずは自分のために楽しいと思えることをやってみようと決心できたきっかけだっだと思います。 特に、一緒にやって楽しいと思ってもらえることに重きを置いた本づくりや企画の立て方は、お店をはじめた今大事にしたいこころです。
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「利他・ケア・傷の倫理学 『私』を生き直すための哲学」/ 近内悠太
¥1,980
本書は多様性の時代となり、大切にしているものが一人ひとりズレる社会で、善意を空転させることもなく、人を傷つけることもなく、生きていくにはどうしたらよいのか?人と出会い直し、歩み直し、つながりを結び直すための、利他とは何か、ケアの本質とは何かについての哲学的考察をした1冊です。 ひとりひとりが多様な考えを持つ中で「やさしさ」が「押し付け」に変わりうることは忘れてはいけないと再認識。(おっちゃんとのやりとりに慣れすぎて麻痺しつつあるので!) 「その人が大切にしているものを大切にする営為」=「ケア」であり、このことが本書では非常に注視されているように思いました。 でも「大切にしてるもの」て目に見えないし、人それぞれ違うんですよね。だからこそ知るためのコミュニケーション。そして人が大切にしているものを大切にする。自身が変わって行く、自己変容を伴うのが利他やケアの本質ということが大きな発見でした 利他、ケアの指南書的に時間をかけて噛み砕きながら自分のものにしていきたいですね◎こういった分野に興味がある方にとっては新しい目線がもらえる1冊でおすすめです!
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「言葉なんていらない?私と世界のあいだ」/古田徹也
¥1,760
読みやすくて人気の「あいだで考えるシリーズ」10作目です。 「精神と言葉(言語)はどちらが先行しているとは言いがたいが、いずれにしても、私たちは実際に多くの場合、 言葉を探し選び取る作業を通じてはじめて、自分の思いや考え自体を見出すのである。」 言葉の不完全さを認めつつも、それを大いに超える可能性を解き明かしてくれる。 どんなに苦しくても言葉にしようとすることを諦めちゃいけない、諦めたくないと奮い立つような気持ちになります。 そして言葉の立ち上がりの助けになるのが本を読むこと、そして手探りでも対話をしてみることの重要性を確認しました。 自分の言葉に自信がないなと感じたとき、おすすめです◎◎
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聞くこと、話すこと / 尹 雄大
¥1,870
本書を読むと自分に起こった変化が可視化されたように思えて、とても嬉しかった。上手い言い回しや言葉を覚えたっていうことではなく、身体を使って話すことを認められるようになったということがわかって、わぁ、これって成長しているということ?!と自分自身を抱き締めたくなります 聞き方については、「共感する」ことがなんとなく大事な気がしていたけれど、そうではなく、「ただ聞く事を」するという提案がされていて興味深かったです。 そして、ただ聞くだけの中でも無意識下でこれまでの自分の体験からジャッジしてしまう。そうするともうそれは話した当人の言葉ではなくなってしまう。わたしたちはそのことに気づいて意識をしないといけないと、目が冷める感覚がありました。 特に唸って読んだのは第3章のユマニチュードの章。 「ユマニチュード」はフランスで生まれた認知症高齢者のためのケア療法で、「人間らしさ」を意味します。このユマニチュードが目から鱗で、コミュニケーションの基本であり、体得したい技法だと思いました。「あなたが大事なのだ」という思いと実践を行うためには、わたしとあなたを混同しない「哲学的な距離」が必要で、これがあることによって他者への真の敬意が生まれます。 だ〜〜ここまで書いて、どれも簡単なようで難しい….! それでも普段悶々としていたことから視点を変えるきっかけをくれる言葉がたくさんありました。 事実を目の前にして、感情をひとはく挟んで、未来を憂えない。人はしょうがなく変わるのだから、無理に変えようとしなくてもいい。でも変わったことは大いに祝福したいよね!と、全ての人の背中を押してくれるような。おすすめです!
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何も持ってないのに、なんで幸せなんですか? 人類学が教えてくれる自由でラクな生き
¥1,980
ボルネオ島に住む狩猟民プナンの人々を長年研究している人類学者の奥野さんと旅に同行したニッポン放送アナウンサー吉田さんがプナンの暮らしを体験する中で見たもの、感じたことを振り返る対談書。 所有の意識がなかったり、ありがとうやごめんなさいの概念がないプナンの人々。 それなのにみんな幸せそうなのは何故なのか。 「今」「ここ」を楽しく生きるためだけを考える。「おもしろいから生きている」ということも言わず、ただひたすらに今を生きる。 現代の日本社会でそっくりそのまま試行することは難しいかもしれませんが、こういう人たちがいると知ることは自身のストレスや考え方と向き合う良いきっかけになります。 頭の中にボルネオ島を持って時々プナンの暮らしに混ざってみましょう。うーん、良い癒しになりそうです。 ********** 【ゲスト】 ◉石川善樹さん[予防医学研究者、医学博士] ◉二村ヒトシさん[アダルトビデオ監督] ◉佐伯ポインティさん[マルチタレント] ********** 【目次】 ■「なぜみんな幸せじゃないのだろう」という疑問が生まれたのは、十代のときでした。──まえがきに代えて ■第1章 なにも持っていないプナンは、なぜ幸福に生きているのか ■第2章 「親切」を知らないプナンは、なぜ高福祉社会を実現しているのか ■第3章 「なにもしない」先住民のウェルビーイングな生き方……[ゲスト:石川善樹] ■第4章 下ネタばかり話すプナンは、なぜ幸福そうなのか……[ゲスト:二村ヒトシ] ■第5章 世迷い商社マンが、常識が全く通じない人々に出会うまで ■第6章 我々はどうすれば幸福になれるか ■番外編 下ネタと人類……[ゲスト:佐伯ポインティ] ■旅のあとで──あとがきに代えて
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LATIN AMERICA DIY CATALOG / Asado studio 筒井 伸
¥1,200
本書は筒井さんのラテンアメリカへの関心の背景からはじまり、メキシコの農村部について調査していく中で出会った農村独自の経済システム「TUMIN」について、仕組み、通貨のデザイン、発起人の方へのインタビューなどTUMINに参加した筒井さんにしか書けないルポルタージュ。 東京でも区独自の決済システムが利用され始めてますがわたしは実際に使ったことがなく、漠然と地域経済の活性化や連帯感がますのかな、とか外面だけの良さ、綺麗事だけなんじゃないかって、知らないのをいいことに好き放題思っていました。 TUMINの仕組みを知ると、ただのお金のまわり方とか損得勘定だけではなくて、お金はないんだけど作物はあるよ、とか力は貸せるよとか「あるもの」に目を向けつつ対価となるものを新たに作り出していて、これがまさにラテンアメリカのDIY精神っていうことなのかと。痺れます。 資本主義社会に抗いたいんだけども、じゃあどう対抗していく?どうしたらいいのよって、折り合いつけてつきあっていくしかないのかなって思っていた最中差しこんできた光……! 再販制の中で商売しないといけない本屋では独自通貨っていうのは難しいのかもしれないですが、精神性は大いに取り込んでいきたい。
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刑務所に回復共同体をつくる / 毛利真弓 (著/文)
¥2,860
刑務所に回復共同体をつくるケイムショニカイフクキョウドウタイヲツクル 哲学・宗教 毛利真弓モウリマユミ(著/文) 発行:青土社 四六判 360ページ 定価 2,600円+税 ISBN978-4-7917-7689-4 COPY ISBN 13 9784791776894 COPY ISBN 10h 4-7917-7689-5 COPY ISBN 10 4791776895 COPY 出版者記号 7917 COPY CコードC0036 0:一般 0:単行本 36:社会 書店発売日 2024年12月25日登録日2024年11月10日最終更新日2025年3月27日 書評掲載情報 2025-02-23 読売新聞 朝刊 評者: 東畑開人(臨床心理士) 2025-02-22 東京新聞/中日新聞 朝刊 紹介 《「あなたについて教えてください」と聞かれても絶対最後まで話さないような、そんな記憶や体験について語ってもらう場を作ることが、私の仕事だった――》 対等性と自由が尊重された集団のなかで対話を行い、個々人が抱える問題や症状からの回復を目指す「回復共同体(TC)」。映画『プリズン・サークル』の舞台となった島根県の官民協働刑務所で、日本初となるTCの立ち上げに携わった心理士が、その実践を初めて綴る。
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新版 生きのびるためのデザイン / 新版 生きのびるためのデザインシンパンイキノビルタメノデザイン 芸術 ヴィクター・パパネックヴィクターパパネック(著/文)阿部公正アベキミマサ(翻訳)山崎亮ヤマザキリョウ(解説)
¥3,630
「いまだにデザイナーとして取り組むべき課題のほとんどはここに示されていると感じる」 ――山崎亮(コミュニティデザイナー) デザインを、安易な消費者神話の上にあぐらをかいた専門家たちの手にまかせきってはならない。人びとが本当に必要としているものへの綜合的なアプローチによって、空きかんラジオから人力自動車まで、パパネックは、豊かな思考と実験に支えられたかつてない生態学的デザインを追求する。世界的反響を呼んだ「パパネック理論」の完訳本。新たに山崎亮さんによる解説を加え、待望の復刊。デザイナーのみならず全ての生活人必読の一冊。
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ゲリラガーデニング / リチャード レイノルズ(著/文) 甘糟智子アマカストモコ(翻訳)
¥2,420
勝手耕作完全マニュアル、待望の邦訳! 世界にはいろんなことをしている人たちがいます。 本書に登場する人たちが耕しているのは自分の庭ではありません。 見つからないようにこっそりと、空き地、手入れのされていない花壇、道路の中央分離帯、行政区分のあいまいな土地、いつの間にかゴミ捨て場と化しているスポット……、そんな土地を「庭へと変えてしまう」、これがゲリラガーデニングです。 その土地の成り立ちを調べ、見つからないように細心の注意を払い、無断で、創造的に、まるで魔法のように、ふさわしい植物で街を飾るアナーキーな庭づくり。 世界中の実例を紹介しながら、伐られていく世界の中で「植えていく」ことに突き進む。読んだらやってみたくなることまちがいなしの一冊です。 土を掘る、種をまく、水をやり植物を育てる。 こうし た 人間として の 当然の営みは、 土地を所有せずとも実現可能なのです。
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うしろめたさの人類学/松村圭一郎
¥1,870
2017年刊行後、第72回の毎日出版文化賞の特別賞が送られた名著です◎ 断絶した世界が、「つながり」を取り戻す。その可能性を、エチオピアのフィールドワークを経験した著者が人類学的視点で考察し「構築人類学」という新たな学問手法で追求した1冊です。 そもそも自分たちのいる国家とは、経済とは、市場とは、社会とは、そしてその隙間にはびこる人間関係とは? こうした問いを立てながら社会を変えるための「ズレ」や「スキマ」を発見する手立てを模索します。 商品と贈与の違いという視点から、「個人」と「国家」、「国家」と「市場」のつながりへと章立てが広がっていく。時折、松村さんのエチオピアでの実体験が混ぜ込んであるので親近感が芽生えて読みやすいです。読み進めていくうちに凝り固まった思考をどんどん解かれていくような心地よさがあります。
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言いたいことが言えない人の政治学 / 岡田憲治
¥1,980
SOLD OUT
「いろいろな人間がいるこの世界で心の異音が大きくなった時、「言う/言えない」の二つに一つの選択肢しかないということはやはりないのだ、ということです。「言う」と「言わない」の間には、広大なエリアがある……そのことをみなさんは知らない、いや「忘れている」のです」(本書より) 家庭でも職場でも地域社会でも、ふつうに生活しているだけで、私たちは他者との不和やトラブルに悩まされます。言いたいことは溜まるけど、そうそう言えないのが大人の世界……。 主張や発言ができないのなら、黙って我慢するしかないのか。そんなわけない、と政治学者の 岡田さんは断じます。 ほどよく交渉したり、提案したり、説得したり……ふだんづかいの対話術を、政治学の知恵をつかって考えていきます。 個人・集団・社会にたいして、自分の思いを届ける技法とマインドをユーモアたっぷりに惜しみなく提案する1冊です。 言いたいことはぐっと飲み込むかガツンと言ってやるかではない。この2極に分かれないということを意識するだけでかなり気持ちが楽になるんじゃないかと思いました◎ 何が課題なのか、何を解決したいのかクリアにすることで、どこまで言うのか、方法はどうしたら良いのかが見えてくる。言える、言えない関わらず身につけたい思考法です。 あまりの情報の波、そして発言の波に押されて、「わたしはここまで言うことがないなぁ」と飲み込むこともあったのですが、その言葉も掬い上げて良いのかもしれない。そんな希望が湧いてきます!
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会社と社会の読書会/畑中章宏、若林恵、山下正太郎、工藤咲希
¥1,980
SOLD OUT
そもそもわたしたちはいつから「社会に出る」ことを「会社に入る」ことだと思うようになったのでしょうか。 現代日本人の生活にあまりにも行き渡り、出世や勤勉さ、あるいは生活や欲望といった日々の考え方にも大きな影響を与えている「会社」とはいったい何なのでしょうか。 文具・オフィス家具メーカーコクヨが掲げる「自律協働社会」というありたい社会像を手がかりに、これからの社会を考える上で重要な指針となりうるテーマやキーワードを拾いあげ、探究するメディア「WORKSIGHT」が、民俗学者の畑中章宏さんを迎え、会社と社会をネタに、読み、考え、語り合った融通無碍な読書会を開催しました。本書は、『論語と算盤』『学問のすゝめ』から『ブルシット・ジョブ』、自己啓発から不倫まで、読書会で登場した246冊の本から「日本の会社」という謎に迫った1冊です。 人や経済状況によって日々変化してしまう、とらえどころのない「会社」を多面的に捉えて問いを続けるということが純粋におもしろく、会社にいるときに読んでいたら立ち回りが少し変わっていたかもなぁと考えたりしました。また、わたしの中で強くあった読書会のイメージ(1冊について語り合う方法、もしくは未読のものを持ち寄り読み紹介する方法など読書会のやり方も様々だと思いますが…)が打ち破られた感じがしました。多様なバックグラウンドを持った人たちが興味を持って選んだ本のタイトルはこれまた多種多様で、知識欲を掻き立てられ、問いが溢れ出していく。読書会ってこんなにクリエイティブな活動だったんだととても感動。読書会への興味がまた少し深まりました。
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共同体研究記/川崎光克
¥1,500
SOLD OUT
既存の社会システムに囚われず、共同体とその自治のあり方について研究・実践する川崎さん。共同体に参加して考えたことをまとめた旅の記録です。創刊号の本号は、インドの国際的な共同体であるオーロヴィルが特集。人々が共有する精神性、住人とニューカマー合わせると一万人以上にもなる人々の暮らし(なかには日本から移り住んだ方も!)持続可能な自治の仕組み、手仕事の趣のあるおおらかな建築が印象的な環境、政治と自治の衝突の歴史などをポイントに、資本主義を乗り越えるヒントを共同体からひもときます。 オーロヴィルの目指す理想とその精神性の深さを目の当たりにして、自身の考えの浅さにうちのめされますが、そもそも自分が何ができるとか何を知ってるとか、そういうことに囚われている時点でもう資本主義的な発想だと気づかされます。 川崎さんの素敵なイラストとDIY精神がビシビシ伝わる装丁!簡易な小冊子を道端で紐に吊るして販売されることから、「コルデル文学」(紐の文学)と呼ばれているブラジルの民衆文学のスタイルにインスパイア、簡易的に製本されています。細やかなこだわりがしびれる.....!本棚から飛び出させて、ぜひぶら下げて保管してみてください。
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NOTAS vol.01 AUTONOMIA〜エクアドルでみつけた自治
¥1,000
〈自治なる暮らしをつくるための備忘録〉 この本は、私たちが互いの思考を確認し合うためにつくり始めた共有ノートのようなものです。かつて心に引っかかった言葉やイメージ、内から湧き出た文章を、つなぎ合わせたりそのまま載せたりしています。 自分が暮らしていたい世界を、自分一人で目指すのではなくて、まずはここに寄稿する仲間たちと、そしてこの本を手に取ってくれたあなたと、一緒になって実現していくためのコミュニケーションツール。 今号のテーマは、AUTONOMIA。日本語で、自治です。自治という言葉は、「自ら治す」と書きますが、「自ら」が指す範囲は、どこまでだろうか。何を、どの範囲で、治して(治めて)いけば、理想の暮らしに辿り着けるのだろうか。 それぞれが南米大陸での生活で得た経験の中に、私たち日本人が手放してしまった「自治なる暮らし」のヒントがいくつも転がっていました。 私たちは、記憶を辿りながらそれらを拾い集め、雑誌にすることにしました。 今の自分たちが書いたことが、未来の自分たちの生活の道標となることを期待して。
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農とアナキズム / 三原容子
¥2,640
三原さんが公害や差別問題と向き合う中で出会った「アナキズム」と「農本主義」。その二つのキーワードを手掛かりに、人と人の関係(アナキズム)、人と自然との関係(農本主義)にこだわり研究を続けてきました。「アナキズム」が大学の研究テーマとして歓迎されなかった80-90年代、女性の立場から差別と支配のない社会を目指して奮闘する過程で生まれた先駆的な論文は今こそ読み返されるべき1冊です。
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新百姓宣言 / ている舎
¥1,100
SOLD OUT
ている舎さん刊行の「新百姓宣言」。 まず、おおもとに「新百姓」という雑誌があってこれが、ドンピシャなテーマの雑誌。効率性や規模の拡大を最優先とする経済の在り方、人間ひとりひとりがそれに順応であるよう求められる巨大な社会のシステムに疑問を持ち、新しい生き方を探求する人々の問いと実践を取材した雑誌です。現在、絶版の0号はwebページで公開されています。気になる方はぜひそちらもご覧ください! (https://www.paradigmshifter.net/) で、編集長おぼけんさんが自身らの活動のエッセンスを詰め込んだ一冊が、新刊「新百姓宣言」。 前半パートでは、おぼけんさんの唱える新しい価値観を写真と共に詩のように綴り、後半パートでは現代のCapitalism(資本主義)に至る社会システムの文脈とその本質や機能不全について考えた上で、「つくる喜び」を最も大切にするCreativitism(創造性主義)というあり方を提示。それに向けた世界観や価値の転回について論じています。 誰もが肌で感じている昨今の行き詰まり感、やりきれなさはシステムに原因があるのかと気付かされ、そこを打破し、転換するのは創造の主体である我々自身なのだと奮い立たされる。でもこれは決して頭にギンギンにハチマキを巻いて、金切り声を挙げていう宣言ではなく、あくまでも自身の中の大切さ、楽しさに注視し、自分が思い描くものを、自らの手でつくってみたい気持ちを大事にしたうえで為される、おおらかな宣言なのです。 さぁ、きょうも体を動かそうと前向きになれる一冊。
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生き延びるための犯罪(みち)/上岡陽江
¥2,090
著者の上岡陽江さんは東京で「ダルク女性ハウス」という薬物やアルコールなどの〈依存症〉の女性たちの回復と社会的な自立を支援する施設を運営しています。 「回復」とは、薬やお酒への依存が止まることではなく、地域の中で、孤立せずに安心して暮らしていけること。哲学、障害学、社会学ほか各方面に大きな影響を与え続ける彼女たちの実践がまとめられています。 本の中でちりばめられている言葉たちは、わたしが呼んだ本の中でもダントツにやわらかく、やさしい。だからびっくりするくらい心の隅々にまで入り込んできます。 判断をせずどんな些細なことでも話しをきいて相手を知る、困っていることを明らかにして緩和の糸口を一緒に探ることは、依存症のかたと向き合うためだけではなく、話しやすい場所作りのヒントになるうると思いました。
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風をとおすレッスン / 田中真知
¥1,540
中東やアフリカで長年過ごしてきた著者が、旅の経験や、古今東西のさまざまな文化や文学作品などの例をとおして、人と人との「あいだ」、また自分自身の中の「あいだ」を見つめ、そこに風をとおし、互いに自由になれる関係をつむぐ道を考える。「私」も他者も大切に、軽やかに生きていくレッスンの始まりです。 自分の心の中に他者をつくる、隠しておきたいことをそのままに受け入れること、わからなさが世界を彩っていること、自分には見えていない世界があると認めること。 自己と他者、自己と自己のあいだで絡まる糸を、ゆるめていくにはどう考えたら良いのか。田中さんの豊かな経験と秀逸な引用がやさしく私たちを導いてくれます。 生活していると、知らず知らずのうちにいろんなものから呪いのような言葉をかけられていて、自分の声がかき消されていきます。本音なんてわかんなくなってく。 どうやって自分の声が掻き消されていくのか、その仕組みさえ知れば、いつでも自分の声は取り戻せるし、ひいては他人のことを考える余裕ができたり、関係の間合いが取りやすくなるはずです。田中さんの言葉は優しい山の天然水のよう。わたしはぱちゃぱちゃと顔を洗ってさっぱり!とした感覚になったんですが、ゆっくり飲んで体中にしみこませたい、なんて方もきっといらっしゃるはず。とにかく読みやすいのでいろんな方におすすめしたい1冊です。
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クソみたいな世界で抗うためのパンク的読書 / 地下BOOKS 小野寺伝助
¥935
2018年に刊行した『クソみたいな世界を生き抜くためのパンク的読書』の続編です。2019年〜2022年までのH.A.Bノ冊子(H.A.B)やPOPEYEWeb(マガジンハウス)での連載、KKV Neighborhoodへの寄稿に、書き下ろしを加えた全31編。 「ユニティ」「D.I.Y」「反差別」「NO WAR」「NO FUTURE」「REVOLUTION」など、考え方やライフスタイルとしてのパンクに通ずる良書を紹介することで、クソみたいな世界で抗い、生きづらい現代にツバを吐いて軽やかに生きるためのパンク的価値観を提示します。 ◾️著者 小野寺伝助 おのでら・でんすけ|1985年、北海道生まれ。会社員の傍ら、パンク・ハードコアバンドで音楽活動をしつつ、出版レーベル<地下BOOKS>を主宰。著書に『クソみたいな世界を生き抜くためのパンク的読書』。 ■目次 1.UNITY 「共に在ること」で抗う 2.D.I.Y 「自分自身」で抗う 3.ANTI RACISM 「知識」で抗う 4.NO WAR 「言葉」で抗う 5.NO FUTURE 「いまここ」で抗う 6. REVOLUTION 「世界を変える」で抗う ■紹介している書籍 『チョンキンマンションのボスは知っている』小川さやか『「国境なき医師団」を見に行く』いとうせいこう/『壁の向こうの住人たち』A.R.ホックシールド/『聖なるズー』濱野ちひろ/『はずれ者が進化をつくる』稲垣栄洋/『ドブロクをつくろう』前田俊彦/『怠惰の美徳』梅崎春生/『結婚の奴』能町みね子/『説教したがる男たち』レベッカ・ソルニット/『ヒロインズ』ケイト・ザンブレノ/『何が私をこうさせたか』金子文子/『フライデー・ブラック』ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー/ 『もうひとつの青春 同性愛者たち』井田真木子/『ある奴隷少女に起こった出来事』ハリエット・アン・ジェイコブズ/『牛乳配達DIARY』INA/『テヘランでロリータを読む』アーザル・ナフィーシー/『生き延びるための思想』上野千鶴子/『何でも見てやろう』小田実/『ビリー・リンの永遠の一日』ベン・ファウンテン/『ガザに地下鉄が走る日』岡真理/『脇道にそれる』尹雄大/『ベルリンうわの空ウンターグルンド』香山哲/『現代思想入門』千葉雅也『急に具合が悪くなる』宮野真生子・磯野真穂/『気流の鳴る音』真木悠介/『むしろ、考える家事』山崎ナオコーラ/『うしろめたさの人類学』松村圭一郎/『人新世の「資本論」』斎藤幸平/『ブルシット・ジョブ』デヴィッド・グレーバー/『LONG WAY HOME』カナイフユキ/『ナナメの夕暮れ』若林正恭